バカ夫婦

東京の片隅に暮らすアラフィフ子無し夫婦(ハゲとドジ)のどうでもいい話

パターソン氏に

今から20年くらい前。

もっと文章を書いていたことを思い出した。

 

文章っていったって、日記レベルのものでしかないけれど。

今よりはもっと真剣に考えてコトバを使っていた気がする。

 

映画をみれば、チケットの半券を貼ったスクラップブックに手書きで。

あるいは日々のあれこれについてblogとかmixiに綴っていた。

 

いつからだろう。

だんだんそういうことをしなくなったなぁ。

 

何となく、自分には表現者になるような才能なんてないし、とか思ったり、

生来の怠けぐせが出てついついだらだらしてしまったというのもあるけれど。

 

やりたいと思いながらやれないのは世の常で。

そういうのを、ハンナ・アーレント

「思想と行動との対立ほど明白でラジカルなものはない」

と、言ったそうな。

 

その点、パターソン氏の、詩との向き合い方は、

ちょっと今までの自分を反省するには充分すぎるほど。

毎日仕事に行き、犬の散歩をし、バーでビールを飲む。

繰り返す日々のなかで、大切なコトバを書き留める。

時々、同じように自分のノートに詩を綴る同胞と出会う。

 

あ、パターソン氏とは、ジム・ジャームッシュの新作映画「パターソン」の主人公のことである。

妻とワンコ(すげーカワイイ)と暮らすバスの運転手で、自分の秘密のノートにいつも詩を書いている。

今はもっぱら、妻に捧げる詩を書いている途中だ。

マッチ箱の話から始まる詩は、少しずつ書き足され、

だんだんと、詩になっていく。

 

偉大なアーティストだとか、

有名になるとか、

そういうことじゃなくて、

詩と共に生きている。その事の方が大切。

彼の生き方がなんて豊かなんだろうかと思ったとき、

自分の心を少しだけ叱りつけた。

だって、ずっと私は怠けてばかりだったから。

 

ジャームッシュの新作「パターソン」

凄くいい映画だった。

絶対観てと何度も言ってくれた友人に感謝。


『パターソン』本予告 8/26(土)公開

 

 

ちなみに私がジャームッシュの映画といえば、

やっぱり初期三部作は外せない。

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