ライオンは今夜死ぬ
トリュフォーの映画が大好きで、
ジャン=ピエール・レオーが大好きな私にとって、
日本人監督がこんなにも「ジャンピエ」ぽさ全開の映画を撮ることに、
喜びが止まりません。
ちょっと。あえて愛情を込めてジャンピエと呼びますが。
なんだろう。奇跡みたいなの。
ジャンピエが歩く。
うたた寝する。
花束を抱えて昔の恋人に会いに行く。
「アタシに会いに来たんじゃないわね」と言われてだまる。
子供たちにからかわれて怒る。
でも一緒に映画を作ることになり、楽しく過ごす。
時々、亡くなった最愛の人が会いに来る。
子供の中に一人、父をなくした子がいて、
幽霊でも亡くなった人に会いたい気持ちを共有する。
子供たちが創作した映画と、
幻をみるジャンピエと、
子供たちの日常と。
虚構と現実が少しずつ入り交じり、
でもそこにはっきりした境界なんかなく、
グラデーションのようにつながる。
ドキュメンタリーのようでもあり、
ドラマのようでもあり。
ジャンピエがジャンピエを演じているからか。
ジャンピエがこれまで演じてきた役柄の歴史を
背後に探そうとする自分がいる。
愛した彼女の幻と会話するジャンピエを見るたびに、
涙腺がおかしなことになって、
幻想的で、美しくて、悲しくて。
ちょっとなんでしょう。私にとってこんな特別な気持ちになった映画は、
トリュフォーの映画以来かも。
支離滅裂ですが、本当に素敵な映画なので。
たくさんの人に観てほしい。
特に大切な誰かを亡くしたことがある人なら尚更。