バカ夫婦

東京の片隅に暮らすアラフィフ子無し夫婦(ハゲとドジ)のどうでもいい話

ライオンは今夜死ぬ

トリュフォーの映画が大好きで、

ジャン=ピエール・レオーが大好きな私にとって、

日本人監督がこんなにも「ジャンピエ」ぽさ全開の映画を撮ることに、

喜びが止まりません。

 

ちょっと。あえて愛情を込めてジャンピエと呼びますが。

なんだろう。奇跡みたいなの。

 

ジャンピエが歩く。

うたた寝する。

花束を抱えて昔の恋人に会いに行く。

「アタシに会いに来たんじゃないわね」と言われてだまる。

子供たちにからかわれて怒る。

でも一緒に映画を作ることになり、楽しく過ごす。

時々、亡くなった最愛の人が会いに来る。

 

子供の中に一人、父をなくした子がいて、

幽霊でも亡くなった人に会いたい気持ちを共有する。

 

子供たちが創作した映画と、

幻をみるジャンピエと、

子供たちの日常と。

虚構と現実が少しずつ入り交じり、

でもそこにはっきりした境界なんかなく、

グラデーションのようにつながる。

 

ドキュメンタリーのようでもあり、

ドラマのようでもあり。

ジャンピエがジャンピエを演じているからか。

ジャンピエがこれまで演じてきた役柄の歴史を

背後に探そうとする自分がいる。

 

愛した彼女の幻と会話するジャンピエを見るたびに、

涙腺がおかしなことになって、

幻想的で、美しくて、悲しくて。

ちょっとなんでしょう。私にとってこんな特別な気持ちになった映画は、

トリュフォーの映画以来かも。

支離滅裂ですが、本当に素敵な映画なので。

たくさんの人に観てほしい。

特に大切な誰かを亡くしたことがある人なら尚更。

 


主演 ジャン=ピエール・レオ―×諏訪敦彦監督『ライオンは今夜死ぬ』予告